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鎌倉の土地が語る少年たちの怨み

  • 執筆者の写真: Gabby
    Gabby
  • 2月13日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月14日

 鎌倉のある建築現場で、次々と不可解な問題が発生し、工事が進まなくなった。土地に何か問題があるのではないかとの依頼を受け、ノアと私はその場所を訪れることになった。


 ノアは現場の周囲をしばらく歩き回り、やがてある一ヶ所に強い恐怖のエネルギーが残っていることを感じ取った。そのエネルギーは周囲の住民にまで影響を及ぼし、住民は精神のバランスを崩したり、予期せぬ不幸を招く原因となっているという。そして、恐怖だけではなく、怒り、憎しみ、深い悲しみ、絶望が渦巻いていることもわかった。


 ノアはこの土地のエネルギーを受け、時間をかけて浄化を試みた。その過程で、かつてここで起きた悲劇の映像が浮かび上がってきた。


 その土地で昔、何が起きたのか、ノアはゆっくり話し始めた。


「時は鎌倉時代。この土地に一人の男が住んでいた。この男は雅楽を奏でることを生業にしていた。彼が不運だったのは、その当時、金春流の能舞が武士社会に受け入れられて隆盛を極めていたことだった。特に小鼓を打つ名人と能舞を舞う名人が現れて、世の中はこの二人の名人に喝采を贈っていた。男は雅楽を演奏する機会を失い、雅楽を学ぼうとする者もいなくなった。男はたちまち貧乏になり、生活苦が襲ってきた。そこで、男は収入を得る方法を思いついた。その当時、上級武士は戦場に女性を連れていけないことから、女性の代わりに少年を戦場に伴う風習が生まれた。稚児愛として武士たちの間で流行っていた。男はそこに目をつけて、稚児舞を教え込んだ。人買いや人さらいを使って、少年たちを集めた。集めた少年たちを穴蔵に監禁して、稚児舞を教え込んだ。舞台の上で目を引く美少年たちを武士に売りつけることで、男は生活できるようになっていった。売られたり、さらわれたりして集められた幼い少年たちは、暗い穴蔵に閉じ込められた。少年たちは恐怖に震えながら、男の言うことに従うしかなかった。絶え間なく体に加えられる暴力と空腹の中で生活している少年たちをさらに苦しめたのは夜だった。妙に静かなときは連れ出された少年は帰ってこなかった。どこかに売られていったのか、殺されたからだ。男は少年に見込みがないと思えば、躊躇なく殺した。無駄飯は与えないというのが男の方針だった。空腹の中で餓死する少年や、折檻の暴力で命を落としていく仲間の姿を、少年たちに見せつけることで恐怖を植えつけて、自分に逆らえないようにしていった。病気になった者は放置され見捨てられた。男は少年たちに無慈悲だった。少年たちは恐怖と憎しみの中で泣かない日はなかった。暗闇の中で、寒さや飢えで震えながら誰かがいつも泣いていた。穴蔵の中には不幸な少年たちの血と涙と恐怖が充ちていた。穴蔵の土壁の中に、彼らの思いは深く染み入っていった。男は長年にわたって少年たちを犠牲にしながら暮らした。あまりにも多くの少年たちが犠牲になった。武士たちは夜、人目を避けて男の元を訪れて目当ての少年を買っていった。男はそのような上級武士たちにとって便利な存在だった。官憲も男の行為には見て見ぬふりをしていた。しかし、時が経ち、運命は男を見放す。ある日、年老いた男の前に、かつて自分が育てて、売り払った少年が成人した姿で訪ねてきた。この若者は、いつか自分と仲間の怨みを男に晴らそうと思い続けてきた。身体が大きくなり、太刀の使い方を覚えたそのときこそ、この男のために死んでいった仲間たちの敵を討つと決めていた。男は刀で脇腹を刺され、数日間、痛みにのたうちまわって死んでいった。あえて即死ではなく、苦しみの時間を与えるように脇腹と肝臓を狙って傷つけた。このとき、この男が死を迎えるまでのさまざまな思いもこの土地の中に色濃く残されている」


 なんと悲惨で残酷な歴史だろうか。この男の歴史はもう少し続く。


 ノアはさらに続けた。


「この男は、その後の生まれ変わりの中で、この土地を何度が訪れている。少年たちの怨みのエネルギーが、彼をこの土地に引き寄せる。江戸時代には、ここで首を切り落とされて死んだ。その後、非常に現代に近い時代には、重い肝臓病を患った末に死んでいる。若いときから常に悪夢にうなされ続け、不遇の中で酒に溺れて、異常な性癖を世間に隠して生活していた。死の床には寂しさと後悔が漂っていた」


 ノアはこの土地の浄化を終えた。

それ以降、工事は滞ることなく進み、問題は解決された。土地に染みついていた恨みのエネルギーはようやく、解放されたのだった。


 その後わかった事実として、工事の過程で少年たちが監禁されていた穴蔵が発見された。この地域の住民たちは長年にわたり、暗いエネルギーの影響を受けてきたという。家庭の崩壊、晩年の孤独死、不運続きの人生、これらもこの土地に刻まれた怨念の産物だったのだろう。



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