王になれなかった悔しさ、呪いの代償
- Gabby
- 1月19日
- 読了時間: 4分
9月のマリブ、日差しがまだ強いある日の午後。オレンジ色のサマードレスを着た女性がセッションを受けにやってきた。元モデルとして活躍していたケリーは、以前ミスハリウッドに選ばれた美しい女性だ。現在はテレビ番組の制作の仕事に関わり、サイドビジネスとしてジュエリーをデザイン制作して販売している。
3年前に結婚をして、今は1歳の娘のお母さんでもある。一見、なんの問題もなく幸せそうに見える。しかし、ケリーは自分の中にとても重たいものがあることを知っている。
ただ、自分ではそれをどうすることもできない。
セッションが始まると、ノアはすぐにケリーの中に呪いがかかっているのが見えた。
「ケリー、呪いがかかっているよ。とても強い。ただ、正体はまだわからない」
「呪いですか?やはり何かとても暗いものがあるのですね。自分でも感じます」
「君はモデルとして活躍していた時期があるから、不特定多数の男性の意識や思いも君の中に入り込んでいる。それが呪いになったのかな。または別れた男性からの暗い思いかも」
呪いのような強いエネルギーはすぐには姿を現さない。エネルギーにも意志がある。
暗いエネルギーも簡単には消されたくないのだ。
1回目のセッションが終わって、しばらく経ってケリーから電話があった。電話の向こうで、
泣きながら話し始めた。
「昨日スーパーに買い物に行って、帰ってきて、いつものように車を家の前に駐車したの。車から買い物袋と娘を抱えて家の玄関の方に歩いていたら、突然、爆発音が聞こえた。なんだと思って振り返ると、なんと私の車が炎上していたの。先日買ったばかりの新車よ。駐車したのに車はそのまま走り出して、坂の下の壁に激突して、爆発炎上してしまった。信じられる?サイドブレーキをかけるのを忘れていたのかもしれないけど、もう思い出せないの。こんなことってある?もし娘がまだ車にいたら死んでいたと言って、主人が火がついたように怒って大変だった。もうショックだった・・・まだ信じられないわ」
ケリーの話はまだ続く。
「あと、セッションの時に言わなかったけど、ここ1ヶ月の間で11回も警察に捕まったの。駐車違反、スピード違反、ストップサイン無視など。最後に警官に反発したら、留置所に連れて行かれた。もう今の私は最悪な状態よ。絶対に私の中に暗いものがあると思うわ」
ケリーの話にはショックだった。きっと前回のセッションでノアに見えた呪いのせいだろう。本当はケリーにもう少し早く2回目のセッションに来てほしかったが、彼女の都合がつかなかった。
あまりにも悲惨なことが続いたので、ケリーもまたセッションを受けに来た。
今日こそ、この強い呪いが浄化されますようにと私は祈る気持ちだった。ノアもその呪いのエネルギーに集中していた。
そして、ノアには見えてきた、呪いの映像が。そして話し始めた。
「ロンドンのテームズ川が見える。川の向こう側に宮殿がある。君はその宮殿に住んでいる。その時代、君は男性で王の弟だった。君は王になりたかった。でもお兄さんがいるから、決して王にはなれない。臣下としてエジンバラ公として生きるしかない君は王が死ねばいいと思って、王の写真立てを置いて、いつも王に呪いをかけていた。死ね、死ね、という君の言葉が聞こえる。王が生きている間、君は闇の帝王になってやると言って、犯罪者の保護者になった。君は多くの犯罪者の後ろ盾になって、悪いことをたくさんして、社会不安を煽らせた。それは王の施政によるものだと言って、王を廃嫡に追い込もうとした」
ノアが呪いのエネルギーを浄化している間、ケリーは苦しそうな表情だった。彼女は前世のストーリーを聞きながら、目はつぶったまま、うなずいていた。
「ケリー、このストーリーは理解できるかな?」
「もちろんよ、私もノアと同じ映像が見えているから。川も宮殿も、呪っている自分の姿も、同じ映像が見えているわ。私はなんて冷酷な男だったのか・・・」
ノアの浄化もどんどん進み、ケリーの表情は柔らかくなってきて、安堵感が出てきた。
「終わった、もう大丈夫だよ」というノアの声で、ケリーは目を開けた。
ケリーは喜びの笑みを浮かべて、こう言った。
「私ね、以前、インディアンのシャーマンに言われたことがあるの。私は前世でものすごく悪い人間だったと。どういう風に悪いのかと聞いても、詳細はわからないと。でもこれで、やっと謎が解けたわ。とっても楽になりました。ありがとうございます」
「人に呪いをかけると、それはいずれ自分に返ってくる。必ず帰ってくる。この呪いのエネルギーが表に上がってきて、君への悲惨な出来事を起こしていた。その呪いのエネルギーは浄化したのでもう大丈夫だよ」
セッション後、しばらくしてケリーから連絡があった。自分の中はとても軽くなって心は穏やかで全てが順調だと言った。
ケリーは前世でイギリス人だったが、実は今回もイギリス人として生まれている。ただ、孤児だったのだ。4歳のとき、アメリカ人の夫婦が彼女を養女として引き取って、アメリカに渡った。親に捨てられて4歳まで孤児院で暮らして孤独だったことも、前世で自分がしてしまったことへの償いだろう。

















































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