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「血の伯爵婦人」の呪い!

  • 執筆者の写真: Gabby
    Gabby
  • 1月26日
  • 読了時間: 13分

更新日:2月14日

 ロンドンで開かれたパーティーに招待されて出席したときのこと。

そこで出会った一人のイタリア人男性との出会いが、これからお話しするセッションの物語の始まりとなった。


 しばらくして日本に戻った私のもとに、そのイタリア人、エドアルドから連絡があった。電話越しに彼は真剣な声で話し始めた。


 「実は、私の住む街の近くにジョバンニという長年の親友がいるのですが、彼の家で20年ほど前に信じられない出来事が起こりました。どう考えても説明がつかない、不思議で謎めいた出来事です。この謎を解明するために、ノアさん、ぜひイタリアに来ていただけないでしょうか?」


 こうして、物語は思いもよらない方向へと動き始めた。


 エドアルドの提案をノアに伝えると、彼はしばらくの間、静かに考え込んでいた。

その表情には、何か特別な感覚を受け取っているような様子がうかがえた。


 そして、数ヶ月経った後、私たちはイタリアに飛んだ。


 イタリアに到着すると、エドアルドは親友のジョバンニを紹介してくれた。

そして、早速セッションを始めることに。


 私はイタリア語が話せないため、セッション中の会話はエドアルドが通訳を務めることになった。私が英語で話し、それをエドアルドがイタリア語に訳してジョバンニに伝えるという形で。


 ノアはジョバンニに問いかけた。


「信じられないようなことが起きたと聞きましたが、具体的に何があったのですか?」


 ジョバンニは少し顔を曇らせながら、静かに語り始めた。


「20年ほど前のことです。家の中で突然、大量の血が噴き出したんです。場所は、2階の母の寝室の壁と床、そして廊下やバスルームの壁や床――どこからともなく、まるで噴水のように。それも、バケツ3杯分にもなるほどの量でした。驚きと恐怖の中、弟が産婦人科の医者だったこともあって、その血を検査するために3か所の検査所へ送りました。その結果、血は女性の血だと判明しました。それで、とりあえず神父様を呼んでお祓いをお願いしました。神父は『これは悪魔の呪いだ』と言い、外部にはこの話を漏らさないよう忠告しました。こんな小さな街にメディアが押し寄せれば、大変なことになると考えたのでしょう。でも、それがなぜ起きたのか、いまだに誰にも分かりません。ずっと、あのとき何が起こったのかを考え続けています。今回、エドアルドからノアさんのことを聞いて、あなたなら何かが分かるかもしれないと思いました。遠いところを訪ねてきてくださり、本当にありがとうございます」

 

 ジョバンニの話を静かに聞いたノアは言った。


「まず、あなたの中を見てみましょう。右側に、大きな『目』が現れている。これは意識体のようなもの。これは非常に強い呪い。これが問題だね」


 その場に張り詰めた空気が漂う中、セッションはさらに深まっていきました。


 ジョバンニは、何が起こるのだろうと心の中で期待と不安が入り混じった感情を抱きながら、ノアと手を合わせて目を閉じていた。


 ふとノアの表情を見ると、それは次第に苦しげなものへと変わっていった。まるで、何か非常に不快で、目を背けたくなるような映像を見ているかのように。


 やがてノアは口を開き、ジョバンニに語りかけた。


「君の家系について見えてきたことがある。君の祖先には、とても長生きで美しい人たちが多かった。それゆえ、君の家系は街中で『あの人たちはヴァンパイアの一族なのではないか』という噂を立てられていた。その噂を払拭して家名を守るために、君の祖先の一人が聖職者になる道を選んだ。当時は魔女狩りが盛んだった時代だ。運命の皮肉というべきか、その聖職者は魔女裁判の審議者としての役割を与えられてしまった。彼が裁いた『魔女』と呼ばれた女性たちは、実際にはただの普通の女性たちだった。それでも彼は裁判を通じて多くの女性を処刑してしまった。その結果、女性たちを殺害したというカルマが君の家系に深く刻まれた。そして、彼女たちが死を迎える瞬間に味わった恐怖と狂気・・・その暗いエネルギーもまた、君の家系に強く残っている」


 ノアの言葉を聞き、ジョバンニは思わず息をのんだ。そして、ぽつりと口にした。


「そんな悲惨な過去があるのですか・・・」


 次にノアは、「実際に血が噴き出した場所を見なければならない」と言い、ジョバンニの家を訪れる必要があると言った。


 ジョバンニの家は、薄いオレンジ色の外壁で、2階建ての建物だった。玄関を入ると、真正面に階段がある。問題の場所は2階だというので、私たちは階段を上り、2階へ向かった。


 廊下を歩いていると、ジョバンニが右手の部屋を指し示しながら言った。


「この寝室が亡き母の寝室です。この部屋の壁と床から、血が噴き出しました。さらに、この廊下と奥に見えるバスルームの壁や床からもです。床のタイルとタイルの間から、止めどなく血が噴き出してきたのです」


 ノアは、ジョバンニが指し示した場所を一つ一つ確認して、浄化していった。

そしてノアはジョバンニに向き直り、こう言った。


「この家には地下がありますよね?その地下に行く必要がある。この問題の根本は、地下にあるから」


 ノアは1階に戻り、ジョバンニに案内されながら1階から地下へと続く階段を下りた。

地下に到着すると、そこはちょっとしたファミリールームのような空間で、ソファや本棚、テレビが置かれていて、家族がくつろげるように整えられている。

 

 ノアは最初に少し立ち止まって全体を見回した。何かを感じたようだ。そして右側の壁を見ながらゆっくりと奥に向かって歩いて行った。地下室の一番奥の右壁の前にノアは立った。そこの壁の一部が不自然に出っ張っている。ノアはその出っ張った壁のところをしばらく見つめていた。そして話し始めた。


 「若い女性たちが見える。年齢は14歳から18歳くらいまで、20人ほど見える。君の祖先の男性がこの若い女性たちを殺してしまった。当時、その男性は糖尿病の末期だったのかもしれない。若い女性の血が妙薬だと信じていたので、女性をさらってきて殺して女性の血を塗ったり飲んだりしていた。そして殺した20人の女性たちの遺体をこの地下の壁に埋めた。ちょうど出っ張っている壁、その壁の中に埋めた。さっき祖先の人が聖職者になって女性たちを殺してしまったと話したが、この糖尿病だった祖先の男性も女性たちを殺した。なぜこの家の床と壁から血が噴き出したかというと、殺された女性たちのものすごく強い悲しみと怨みの念が、『物質化』して、血を吹き出させた。殺された女性たちは彼女たちの強い悲しみをわかってほしかったんだよ」


 ノアはしばらくその場所に立ちすくんでいた。目をつぶり、何かを感じている。

そしてこう言った。


「いま、一人の高貴な女性が僕の横に現れた。彼女は僕にこう言った。『ノア、あなたが来るのを何百年もずっと待っていました。あなたが、この血の悲しみの連鎖を止めてください。あなたがわかってくれたのでもう大丈夫、ありがとう』と言って彼女は消えていった」


 この高貴な女性こそが、世間では「血の伯爵夫人」と呼ばれている、ハンガリー王国の貴族、エリザベート・バートリーだった。


 バートリーは若い女性たちを殺して、血を飲んだり、血の風呂に入ったりしていた。殺して血を抜く細工のあるものを作ったり、狂気の世界にいた女性として有名だ。彼女が殺した女性たちは600人くらいだと言われている。彼女が殺した女性たちの遺体は、彼女の城の中に埋められていた。


 バートリーは人の血を飲んでいたので、彼女の一族はヴァンパイアとして人々から恐れられていた。その後、彼女の一族はイタリアに逃れてきた。イタリアではバートリーという苗字はヴァンパイアだという噂が流れてしまったので、彼らはバートリーという名字をイタリア風の名前に変えて生きてきた。そのイタリア風に変えた苗字を持つのが、ジョバンニの一族なのだ。


 だから、ジョバンニの家系は、血の伯爵夫人の末裔だったのだ。


 ジョバンニはノアに兄弟のことを話し始めた。


「私は3人兄弟の長男です。次男は産婦人科の医者でしたが、15年ほど前に交通事故で亡くなりました。ただ、その時の状況がとても変だったんです。事故の現場では、周囲の人たちがすぐに救急車を呼んでくれました。しかし、なぜか救急車が到着するまでにものすごく時間がかかり、その間に私が現場に到着しました。弟の体の傷は、ぱっと見たところ大したことがないように見えました。それなのに、彼は大量に出血していました。特に奇妙だったのは、口からどんどん血が溢れてきて、まるで自分の血で溺れるかのように亡くなったのです。事故の程度から考えれば、とても死ぬような怪我ではなかったのですが……彼の死に方はどう見ても異常でした」


 ノアは静かに聞いてたが、やがて口を開いた。


「それは、君の祖先が、魔女狩りの中で多くの女性を殺害し、その血を飲むような行為をしていた。その行いのカルマが、君の弟さんの最期に影響を与えたんだ。彼が自分の血で溺れるようにして亡くなったのは、祖先が犯した罪の償いだよ」


 ジョバンニは少し驚いたような表情を浮かべたが、やがて深くうなずいた。


「そうですか。今そう説明されると納得できます。弟の死は、家系の償いだったんですね」


 ジョバンニはさらに話を続けました。


「弟が亡くなり、葬儀を行ったときにも驚きの出来事がありました。弟は産婦人科の医者で、かなりの収入があったはずなのに、いつも『お金がない』と言っていたのです。冗談だと思っていましたが、実際には彼の生活は質素で、何にお金を使っているのか全くわかりませんでした。ところが、葬儀の当日、なんと1000人以上の女性たちが参列したんです。外までずらりと列ができるほどで、見たこともないような光景でした。弟は独身で、結婚もしておらず、恋人がいるとも聞いたことがなかったので、なぜこんなに多くの女性たちが彼の葬儀に集まるのか、全く理解できませんでした。あまりにも気になって、私は参列していた女性たちに声をかけて、弟との関係を聞いてみました。すると、返ってきた答えに驚きました。弟は、自分のクリニックに訪れた中絶を希望する女性たちに対し、できるだけ中絶をやめるよう説得していたんです。そして、経済的な理由で子供を育てられない女性たちには、自分のお金を使って金銭的な援助をしてらしいのです。弟が助けた女性たちの多くは、彼に金銭だけでなく精神的にも支えられ、感謝の気持ちを持っていました。その恩義を感じた女性たちが、弟に最後の感謝を伝えるために葬儀に参列していたのです。これだけの女性たちを援助していたのですから、弟が『お金がない』と言っていたのも当然ですね。弟は生前、このことを一切口にしませんでした。私たち家族ですら、そのことを全く知らなかったのです」


 「それも、償いだね。祖先が多くの女性たちを犠牲にしてしまった。その償いとして、弟さんは女性たちとその新しい命を救っていた。彼の魂は、祖先の罪を償う必要があることを深く理解していたんだろう」


「そうですか…。実は3男には精神疾患があります。それも代償なのでしょうか?」


「そうだね。それも家系に残された強い怨念が原因だ。女性たちが殺されるときに抱いた『絶対に幸せになんかさせない!』という強い怒りと憎しみ。それが家系に根付いてしまい、3男には精神異常という形で影響を与えている。その苦しみもまた、償いだね」


 ジョバンニは静かに、しかし重い声で自身の過去を語り始めた。


「私が7歳のときのことです。目の前で祖父が銃殺されました。第二次世界大戦の終戦宣言があったにもかかわらず、ナチス兵が祖父を殺したのです。その光景はあまりにもショッキングで、私はその後3か月ほど、全く話すことができなくなりました。そして、それ以来、吃るようになってしまいました。今でもその影響が残っていて、私の話は聞きづらいですよね。すみません」


 ノアは、ジョバンニの話を真剣に聞きながら、温かい目で答えた。


「それはあまりにも大きなショックだったね。かわいそうに。それもまた、君の家系のカルマとつながっている。祖先が女性たちを殺した罪が、君の人生にこうして影響を与えているんだ。君が目の前で祖父を殺されたのも、その代償の一部だ。そして、祖先が罪を隠さなければならなかったように、君もその事件のショックで言葉を失った。すべてが繋がっていて、エネルギーが深く関わっているんだよ」


 ジョバンニは静かにうなずき、続けた。


「父も病気で、ヒルを置いて血を吸わせる治療を受けていました。何かと血にまつわることばかりで……。壁や床から血が噴き出したことも含め、やはり何か暗い過去とつながっているのだろうと、ずっと思っていました。でも、これほどまでに悲惨な歴史が背景にあるとは思いませんでした」


 ノアは深いため息をつき、優しい声で語りかけた。

「本当に悲惨な歴史だよね。でも、僕が今回イタリアに来たのは、この悲しみの連鎖を断ち切るためだったんだと、今確信しているよ。この家系に蓄積された痛みや怨念を、ここで終わらせるために」


 ジョバンニはその言葉に深くうなずき、どこか救われたような表情を浮かべた。この瞬間から、長く続いていた負の連鎖に終わりを告げる希望の光が差し込み始めたように感じられた。


 ノアはジョバンニとエドアルドに向かい、静かに語り始めた。


「エリザベート・バートリーが現れて、『ありがとう』と言ったので、これで、数百年にわたる呪いの物語は幕を閉じた。彼女―いわゆる“血の伯爵夫人”もようやく救われた。そして、彼女によって命を奪われた女性たちの魂も解放された。伯爵夫人は生前、残酷で狂気に満ちた世界に生きていたけれど、死後、霊界に行ったとき、自分がどんなことをしてきたのか、そのすべてを見せられた。自分の行いの結果を目の当たりにして、彼女は深く後悔した。霊界では、生前の行動が鏡のように映し出される。それは、逃れることのできない真実なんだ。伯爵夫人は、彼女が殺した女性たちの強い怨みと悲しみのエネルギーの中に長い間縛られていた。その強烈な負のエネルギーが、今日ようやく浄化され、解放された。そして、それだけじゃない。君たち一家、そして君たちの祖先たちも、この呪いのカルマから解放されたよ。これで、長らく解明されなかったこの家のミステリーが、ついに解決した。呪いの連鎖も、今日で終わりを迎えた」


 ジョバンニは涙を拭いながら、深く息をつき、感情を込めて言った。


「信じられないほど悲惨で重たいドラマでした。本当に、家系にこんなにも深い悲しみと苦しみの物語が隠されていたなんて……。ノアさんのおかげで、私はやっと気持ちが軽くなりました。もしノアさんに出会えなかったら、この悲しみの連鎖はこれからも続いていたでしょうね」


 彼の声は震えていましたが、その言葉には感謝の思いがはっきりと込められていた。


「本当に、本当にありがとうございます。あなたが来てくれたおかげで、私たちの家族だけでなく、祖先たちも解放された気がします。これから、私たちは新しい人生を歩んでいける気がします」


 ジョバンニの言葉を聞き、エドアルドもうなずきながら涙を流していた。

その場に漂うのは、悲しみの物語を越えた先に訪れた安堵と感謝の静かな空気だった。そして、呪いの連鎖が解かれた瞬間に立ち会えた喜びが、二人の心にしっかりと刻まれていた。


 あとでノアから教えてもらった話がある。


 エリザベート・バートリー―「血の伯爵夫人」は、若い女性たちを次々と犠牲にし、残虐な行為を繰り返していた。しかし、あるとき、彼女は貴族階級の若い女性にまで手を出そうとした。この事実を知ったハプスブルク家は、直ちに軍を送り、伯爵夫人の城を包囲し開城させた。城内に監禁されていた女性たちは救い出され、伯爵夫人自身は生涯にわたり幽閉されることになった。つまり、ハプスブルク家が伯爵夫人の残虐行為を止め、その罪深い行いを終わらせたのだ。


 そして今回の出来事を振り返ると、不思議なことに、その時と同じ構図が見えてきた。

どういうことかというと、再びハプスブルク家がバートリー一族を救った、ということ。


 エドアルドが実はハプスブルク家の末裔であることをノアが教えてくれた。

そのエドアルドがジョバンニをノアのもとに連れてきたことで、バートリー家に刻まれていた深い呪いが解放され、家系が救われた。


 救いの構図が過去と同じだなんて、エネルギーの働きはいつも絶妙で興味深い。





 
 
 

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