ツタンカーメンの呪いが解けた日
- Gabby
- 2022年5月25日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年12月24日
ある日、ロサンゼルスに住む友人のジョンから連絡があった。
「息子のウィリーとガールフレンドのレイチェルが日本に行くことになったんだ。よろしく頼むよ」と。
彼の言葉から、親としての温かい愛情と少しの心配が滲み出ていた。ウィリーの日本旅行は、彼の大学卒業を祝ってのプレゼントだという。ウィリーは大学で作曲を学び、映画音楽やCM音楽の制作に携わる才能ある青年だ。レイチェルはアニメーションのアーティストとして活躍しており、日本への憧れを抱いていた。そしてウィリーも自身も、かつて食べたお菓子の美味しさが忘れられず、「いつか日本で本場の美味しいものを食べる」という夢を抱いていたのだ。
しかし、ジョンはこの旅行にひとつの条件をつけた。それはウィリーがノアのセッションを受けることだった。父親の直感は鋭く、ウィリーが「何か重たいもの」を抱えていることを感じ取っていたのだ。
ノアのセッションが始まった。
ノアはウィリーの胸のあたりに、異様に強いエネルギーの塊が見えて、それが「強い呪い」であることがわかった。
「ウィリー、君にはとても強い呪いがかかっている」
「呪いですか?胸は時々、苦しくなるのです。理由はわからないけれど・・・」
ノアは呪いのエネルギーを解放しようと試みたが、なかなか解けない。通常では考えられないほど強力な呪いだった。
そして、4回目のセッションで、ついにその全貌が明らかになった。
ノアはウィリーに言った。
「ウィリー、君は前世でツタンカーメンだったんだ」
ウィリーの目が大きく見開かれる。
「ツタンカーメン?」
「そうだよ。君の前世は、あのエジプトの若い王、ツタンカーメンだった。その時の呪いが今も君を縛っている」
ツタンカーメンの黄金のマスクに象徴されるコブラ、それは「呪い」の象徴でもあった。
ノアの集中が深まると、過去のドラマが映像となって見えてきて、説明した。
「神官長アイはツタンカーメンの父であるアクナーテン王に取り入って、神官長の地位を手に入れた。アクナーテン王はエジプトの民衆に光をもたらそうとして、神の存在を説いた。多神教から一神教への宗教改革を王の権威に於いて行った。神官長アイは王に忠誠を誓い、彼の宗教改革がうまくいくように、反発する神官との間を取り持っていた。しかし、彼の本心は多神教にあった。裏で民衆を扇動して、アクナーテン王をエジプトから追放することに成功する。若きツタンカーメンは王に即位すると、父の偉業を残そうと、神官たちと融和する政策を行っていた。ここでも、アイはツタンカーメンの後ろ盾になって、彼を育てる師父の役割を演じるその一方で、ツタンカーメンを葬り去る準備をしていた。ツタンカーメンが死後の復活を遂げないように、本人に強い呪いをかける必要があった。そして、死の原因が暴かれないように棺にも呪いをかけた。ツタンカーメンを殺すために、隕鉄「隕石の鉄」で作った短剣を用意した。この短剣に呪いを込めるために、何人もの神官を殺して、その血を吸わせた。彼らの血の呪いを短剣に込めた。そして最後に1人の女性が犠牲になった。次に血塗られた短剣を手に、アイはツタンカーメンの寝所に忍び入り、彼の胸に呪いの言葉を唱えながら殺害した。ツタンカーメンは呪いを込めた短剣で殺された」
「驚きですね。今、ノアの話を聞きながら、自分がだんだん軽くなっていくのが実感できました。自分の中から何かが抜け落ちたような感じです。父が自分の中に何かあると感じていたのはこの呪いだったのですね。確かに自分の今までの人生を考えると、いろいろなことがうまく行かなかったと思います」
「そう、これはものすごく強い呪いだったからね。でもこれからは人生が変わってくるから、大丈夫だよ」
こうして4回のセッションでやっとツタンカーメンの呪いが消えた。
今回のツタンカーメンの呪いは、短剣が鍵となっているとノアは言う。
ツタンカーメンを殺すときに使われた短剣は、エジプトの博物館に現存しているそうだ。
ウィリーが一緒に日本に来た女性レイチェルだが・・・・
神官長アイが最後に犠牲にした女性の生まれ変わりが、このレイチェルだった。
ウィリーとレイチェルは幼馴染で付き合っていたが、この2人を結びつけていたのは、この呪いの念だった。
アメリカに帰国して3ヶ月後、この2人は別れることになった。
それは、この2人を結びつけていた呪いが消えたからだ。2人を引き寄せていたものがなくなったので、お互いに本来の姿に戻ったのだ。

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