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少女達に愛の光を

  • 執筆者の写真: Gabby
    Gabby
  • 2018年6月1日
  • 読了時間: 6分

更新日:2024年12月24日

 ノアはアメリカに行くと時々、子供達の保護施設にボランティアとして出かけて行くことがある。

 今日はアメリカで訪れた施設の子供達との対話の様子を書いてみようと思う。

この施設はロサンゼルス郊外にあり、数十人の少女達が暮らしている。ここの施設長はもともと非常に優秀な検事だった。少女時代から正義感が強く成績も常に一番だった。そんな彼女が検事になって社会正義を追求して行くのはまさに天職だった。

 

 ある日のこと街角で暮らす子供達のことを知った。保護者もなくストリートチルドレンとして家もなく街の中で一人で暮らしている少女達がいる。心ない大人たちの餌食にされてゆく幼気な少女の姿を見て彼女は心が震えた。この先進国アメリカでこのようなことがあって良いのか、誰かがなんとかしなければならない。そうして彼女は私財を投じて育児放棄されたり身寄りを失ってしまった未成年の少女達を保護する活動を始めて、そういう少女たちにきちんとした生活と教育を与える施設を設立した。

 ノアはここを訪れて様々な事情を抱えて傷ついた少女達の心を癒すためにセッションに臨んだ。ここでのセッションは指導員同席のもとで行われるが、事前に少女の生い立ちや背景などの情報は一切与えられない。

 ある子は15歳にも関わらず薬物の経験があり薬物が欲しくなると施設を抜け出して男性と関係を持つことで薬を手に入れている。薬物の影響が精神や脳の機能に影響を与えて異常にハイになったり落ち込んだりしている。強い頭の痛みもあるはず。指導員は薬物のことに関しては全く知らなかったと言った。

 ある子は幼児の時に仲良しだった友達のことがノアには見えてきて名前までわかったので、その子に、仲良しの友達の名前はデスティニーって言うんでしょう?と言うと、その子は目を丸くしてビックリしながら、ノアはなんで私の幼馴染みの友達の名前までわかるの?私はその子の名前なんて忘れちゃってたのにと言った。

 またある子は実の父親がアルコール依存症で性的暴力が日常的に行われていた。あまりにも辛くて心を閉ざしてしまってるので、ノアもなかなか奥まで入ることができない。この子は辛すぎて誰も信じられない、神様はなんて不公平なんだろうって思っている。街の中でいつも一人でいた。

 ノアが少女の一人一人の置かれていた状況とその子の心の問題や生活態度を話して行くと、指導員もその一つ一つに頷いていく姿が見られた。ノアは少女に優しく話しかけ、ある子は涙ぐみ、ある子は驚きの顔でノアを見ている。終わった後はみんながノアを好きになっていた。同席した指導員にとっても驚きと感動の連続だった。

 少女達はみんな心を閉ざしているので自分たちのことを喋らない。そんな中で、私たちの知らなかったことまで教えてもらってもっとあの子たちを理解できるようになるでしょう、と指導員が言った。

 セッションした中でノアを泣かした子がいて私にも印象深かった。

セッションを始めるや否やノアの目から涙が流れ落ちている。ようやくノアが口を開くと驚きの事実が語られた。

 この子の両親は15歳か16歳の若いカップルだ。母親はこの子が1歳にならないうちに死んでしまった。父親はこの子が不憫で何とか育てようと努力した。父親の親たちも貧困で心の冷たい人達だった。父親はなんとかこの子が6歳になるまでは面倒を見ていたが、その後はこの子を一人置き去りにしてどこかに行ってしまった。その日からこの子は一人で街の中で生きて行くしかなかった。路地裏のビルの陽の当たらない場所が彼女の寝ぐらだった。ゴミ箱を漁って食べ物を探して生きてきた。大人のそばに行くと邪魔者扱いにされ、邪険に叩かれたり虐げられたりするので近づかないようにしていた。誰からも人間扱いされることがなかった。同年代の友達もいない、本当に一人で生きていた。

 そしてこの施設に連れてこられた。多分その時は12歳くらいだろう。あまりにも悲しくて寂しい人生を送ってきている。指導員が言うには、この子が来た時には本当に酷い様子で施設の人達にも怯えていたそうだ。何年も身体を洗った様子がなく、身体を洗った後に着替えのための服を渡した時にこの子が言った言葉に驚いたそうだ。これは今日からあなたのものよと言って渡した服を抱きしめてこの子は、本当にもらっていいの?と何度も聞いたそうだ。聞かれるたびに指導員はこれはあなたのものよと答えた。この子は嬉しそうにして私は人からこんなに親切にしてもらったことなんか一度もなかった、あなたはとてもいい人なんですね、ありがとうと言ったそうだ。その言葉に指導員はショックを受けたと語っていた。  この子も施設に来て半年になるがいまだに誰とも打ち解けようとはしない。食事の時もみんなから離れて一人で食べている。

後日談:

ノアのセッションが終わって数日後、施設長が少女たちにノアはどうだったのか?と聞いたそうだ。みんながノアのことが好きでまた会いたいと言った。ただ一人だけ辛い時のことを思い出したので自分は会わなくてもいいかなと言った。

 少女たちの感想は・・・どうしてあの人(ノア)は話も出来ないのに(英語ができないという意味)私のことをみんな知ってるの?私の小さい時の仲良しの友達のことをノアが話してたけど私でさえ忘れていたのにノアが知ってるのが不思議だった、それもその子の名前まで知っていたことがもっとビックリだったと。

 ノアに会わなくてもいいと言った子はもうすぐ18歳になるので退所に向けて保護者である父親と話し合いを持ったが、今までであれば父親の顔を見るとパニックになって話ができなかったが、今回は普通に父親に接しているこの子を見て施設長はとても驚いたそうだ。ノアに会って彼女の中で何かが変わったに違いない。

 またノアが最初から泣いてしまったセッションの子は、私はノアを泣かせちゃったのと言ったそうだ。ただその後、施設長にも頻繁に話しかけてくるようになり、たまにハグしてくるようにもなって、ふと気づくと笑っているこの子の姿を見ることがあるそうだ。この子のセッションの後でノアが私に言った言葉を今でも覚えている。

 「6歳で親に捨てられた彼女の人生が辛すぎて何と言葉をかけていいのか言葉が見つからなかった。彼女の心に届く言葉ではなかった。ただ、涙が留めなく流れた。涙の顔を彼女に向けることしか出来なかった」と。ノアの人柄がよく現れていると思う。ノアの涙が彼女の心に残ったのは間違いなかったようだ。

 アメリカという先進国でさえこのような子供達の現実があることを知って欲しくて記事にしました。まして世界では当たり前のように多くの子供達が辛い生活を強いられていることを思うと心が痛みます。

 ここの施設長の活動は全米中、そして今では世界にも広がり多くの少女達を救済し、その救済プログラムは多くの人達の支持を得ています。世界が平和になり、人々の心に愛の明かりが灯されることを願って止みません。

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